2005年12月19日

あらしのよるに 2

今晩は、ケイです。
今回は続き物なので、前回の「あらしのよるに 1」を未読の方は、そちらを先にお読みください。

それでは、以下続きです。

※完全ネタバレです。それと、予想以上に酷い内容になりました(苦笑)御注意ください。




前回も言いましたが、俺は映画を観ていません。
ですから、これから俺が書くのはすべて、原作の小説版「あらしのよるに」についてです。
映画のストーリーをほとんど知りませんが、恐らく背骨となるストーリーは一緒で、違いがあるとしたらラストでしょう。
確認していませんが、原作のラストと映画のラストが同じとは思いがたいからです。
これは作品がどうこうではなく、商業としての性質上無理だと邪推してしまうからなんですけど、恐らく間違ってはいないかと。

そのラストは後で語るとして(重ねて言いますが、完全ネタバレになります)、まずはカンタンにストーリーをおっていきましょう。

嵐の夜に、山小屋で二匹は出会います。
明かりもなく、風邪を引き鼻もきかない二匹は、お互いの正体を勘違いします。
メイはガブをヤギだと、ガブはメイを狼だと。
暗闇の中、相手が見えないからか、心を許し身の上話を始める。
そして二匹は意気投合し、後日会う約束をします。

ここで、本来は「エサ」と「捕食者」の関係が壊れます。
お互いはお互いの本能以外の部分、理性ある心に触れているからです。
これがきっかけで、メイはガブにとって「ただの肉」ではなくなり、ガブはメイにとって「仲間の肉を食う化け物」ではなくなります。

後日あった時に、初めてお互いの正体に気がつくわけですが、ヤギのメイが恐ろしく聡明なため、これを乗り越える事に成功します。
赤ん坊が微笑むのは、防衛本能だと言う人がいますが、まさにです。
ニコニコと笑顔の存在を攻撃するのには、覚悟がいります。
その時点で、食事と割り切れなくなります。
なぜなら行為自体が、食事から殺しに変化するわけですから。

こうしてファーストコンタクトは、お互いがお土産に持ってきたクローバーの力も借りて(本当に幸運のクローバーですね)大成功となります。
その後、「私たちって似てますね」という親近感と、未知の存在への興味、そして出会いを増やす事による単純接触効果により、二人の心は急接近します。

そして、ここからは「お約束」というか「王道」というか、好きな人にはたまらないというツボをぐいぐい押す展開となります。
いくらお互い好き合っていても、そこは捕食者とエサとしての歴史があり、個人同士好き会っても二匹が属する社会がそれを許さない。
その展開は「ロボットと人間」とか「王子様と町娘」とか、「吸血鬼と人間」などのありふれた材料と言えます。
ぶっちゃけ種族間を越えた愛をテーマにした作品は腐るほどあります。
つまりそれだけ「ニーズがある=人気がある」って事です。
それら全てを否定することはできませんし、大好きな作品もありますが、基本的に好きではありません。

なぜならそれらをテーマに(もしくはテーマの一つに)した作品は数多く、その中には名作と呼ばれる作品がたくさんありが、同時に駄作や、過去の作品をミクスチャーしただけの物もあるわけです。
それだったら「ヴァンパイアハンターD」とか「からくりサーカス」とかいくらでも面白いのがあるわけで(以下略

蛇足ですが、ミクスチャーしただけだったら「それは作品と呼べるのかな?」と思ってしまうのも事実です。
俺が大好きな作品に「ベルセルク」という漫画がありますが、以前ガンガンで連載されていたある作品の一巻を読んで
「なんでもありかよw」
と、爆笑したことがあります。
笑っちゃうくらい完全にパクってる、完パクってやつです。
絵、キャラ、ストーリー、セリフ、全てがベルセルクで見たことのあるものでした。
あまりに堂々とパクっていたので、面白いくらいでした。
そして、それ以降の巻を読んでいないので、その後その作品がどうなったかはわかりません。

少し話がずれましたが、その種族間を越えた愛っていうのが、最初「あらしのよるに」を俺が遠ざけていた原因なんです。
ここがこの作品最大の山場でもあるし、ここが好きだという人も多いでしょうから、あえて語りません。
ただ、作者のきむらゆういち氏の心理描写が素晴らしかった、リアリティがあったとだけ言っておきます。
性別が明記されていませんが(公式サイトとかに)ペンネームから男性と判断していたんですけど、この人はひょっとして女性かなと思ったくらいです。
それくらいメイの描写が上手かった。

さて、二匹は蜜月を過ごし、二匹の関係がバレ、迫害されて、逃亡生活を始めます。
そこには、やはり希望を求めて旅立つというストーリー展開があります。
まだ誰も超えたことの無いあの山を越えれば、きっと希望が待っている、と。

ここまで一気に読んだのですが、俺にはどうにも解せないことがありました。
それはメイの性別です。
最初に映画のCMを見たときは所謂「インテリ口調」で喋る男性だと思いました。
声優は男性がしていますし、これは男同士の友情の物語かなと。

しかし、原作を読んでいて思ったのは、メイが女性としか思えない。
どう見ても女の子だ。
作中でメイの性別は表記されていませんが、少なくとも作者のきむらゆういち氏はメイを少女として書いたと思います。
もし映画のCMを見ていなかったら、確実に女性だと思い、疑いもしなかったでしょう。

理由として、作中では、タプという雄ヤギが
「メイが心配なんだ」
という発言をよくしていましたが、これは典型的な恋愛をテーマにした漫画に出てくる「主人公とヒロインの間を裂こうとする、スタート地点が有利なキャラ」です。
「スタート地点が有利なキャラ」というのは、俺の造語ですが、わかりやすく言うなら「ヒロインと幼馴染」とか、「ヒロインが昔から兄のように慕っていた」とか「ヒロインと種族が同じ」等のアドバンテージを持っているキャラという事です。
この場合、タプは「ヒロインと種族が同じ」という事になります(悲しいくらいメイは相手にしませんでしたが・・・・・・)

他にも拗ね方や、ガブへの愛情表現は、女性的で、間違っても男性ではないと思ったのです。
メイの言動、特に拗ねた時や、相手を独占したいのではなく、包みたい、後ろから抱きしめたいという感覚はとても女性的だと思います。

一方、ガブは男性的でプライドや面子に拘り、ワガママを言いません。
ただ、必要以上に前面に押し出しているように感じました。

なぜ、そんな事をするのか?

簡単です。
これを前面に押し出すのは、相手が女性だからです。

男が男の前でかっこつけるなら、このやり方はないと思います。
男を相手に、男性的なプライドを持つなんてのはおかしいからです。
また、感情より論理的な思考をガブはします。
それにより理論でがんじがらめになっているガブと、メイは対照的に書かれています。
それが元になり、二匹はケンカをしたり仲直りをしたりします。
対照的とは、この場合、男性的ではない、女性的だと言うことです。

困りました。
最初、メイは男性だという先入観がありました。
そして男性だと思い読み始めました。
ところが、話が進むにしたがって、女性以外の何者でもなくなっています。

ラストの方では何の違和感もなく、メイはガブを「あなた」と呼びます。
男性同士でこれを使うでしょうか?
まだ仲良くなっていない前半ならインテリ口調で「君」と同じニュアンスで「あなたは・・・」と話しても違和感はありませんでした。
しかし、後半になり泣きながら抱き合って「あなた」って間違っても男性同士で使いません。

この時俺が思ったのは
メイは男性だけど、心は女性
もしくは、
体も心も男性だけど、男性を愛せる
の、どちらかではないかと。

いや、もうこの作品が好きな人からすれば、
「邪推してんなボケ、死ね」
と、言われても仕方がないのですが、どう読んでもこれは友情ではなく恋愛だと思うし、メイが男性とは思えないのですよ。
もしくは、男性だけど、男性を愛せる同性愛者としか思えないのです。

ぶっちゃけ、この時点でメイがカオル君的なキャラに見えてました。

「これは・・・・・・・・どう捉えればいいんだ???」
困惑しながらも読み進めました。
まさかこの後二人で風呂に入り
「好きってことさ」
なんて言ったりはしないでしょうが・・・・・・(ありえません)
余談ですが風呂で読んでいるため、いろんな意味で上せてました

そして、物語はラストに向かいます。
ラストは・・・・・・・・・二人の命が消えます。

中天には満月が輝き、丘の上で、春の風に吹かれながら・・・・・・・美しく、幸せそうに二人の命は一旦、活動をやめます。(このラストは賛否両論になるのが目に見えているから、絶対に映画では違うラストだと思うんですけど・・・・・・・・観た方、よかったら教えてください)

死という一つの終りで切り取る事により、永遠を表現しようとしたのでしょう。
ラスト、そこには狼もヤギもないく、捕食者でもエサでもなく、本能からすらも離別し、ただ二つの魂だけがありました。

二つの亡骸が、月光に照らされて―――――――――――END

ここからは、完全に俺の妄想です。
妄言というカテゴリで書いているのですから、いちいち断るのも変ですが、正直自分でも引いたので(苦笑)





先ほど、メイがカオル君にしか見えないと書きましたが、読後にその感想はまったく変わっていました。
っていうか、カオル君の元ネタっていうか、エヴァンゲリオンの元ネタっていうか、うん・・・・・・・。

メイはヤギとして、ヤギの群れ――社会で生活してきました。
しかし、偶然、狼の心を知ってしまう。
今まで捕食者、メイからすれば仲間を殺して食う悪魔でしかなかった狼の、心の弱さを見てしまう。
メイがヤギとして、仲間の事だけを考えればその弱い部分を利用できたはずです。
事実、メイは恐ろしく聡明で、状況判断を的確にできる知能を持っていますから。

しかし、ただ一つの誤算は、メイが狼を愛してしまった事。
仲間を捨ててまで、二人で生きられる世界を願った事。

俺は、これにそっくりの会話をある漫画で読んだことがあります。
その漫画では、次にこのセリフ



































「それは・・・・・・・わたしが・・・・・・・・両性生物だったから」















メイ=飛鳥 了(待て)



デビルマン.jpg


これで性別の問題は納得しました(俺だけが)


先にも書きましたが、「あらしのよるに」のラストは、二人で月を見ながら語り合い、最後は二つの亡骸になります。
そして、デビルマンの原作のラストもご存知の通りです。
月が中天に輝き、飛鳥了と不動明が会話をします(飛鳥了の独白に近いですけど)


「眠ったんだね・・・・・・明。永劫のやすらぎのねむりに・・・・・・」


上記のセリフは「あらしのよるに」では使われていません(当たり前ですが)
しかし、俺にはずーーーーーーーーと、聞こえてました。
っていうか、もうラストでは飛鳥了と不動明の会話が頭から離れなかった。
ハッピーエンド、というか、ヒロインの美樹ちゃんが出てこなくて、愛し合えた二人が一緒に心中したとしか思えなかった。
ほんと、デビルマンの原作を持っている人に読んで欲しいです。

今思えば、タプが語った狼象
「〜〜何しろ目は恐ろしく釣りあがってるし、鼻はメチャクチャ不細工だし、口なんてこーんなにでかくて〜〜」
というセリフが、悪魔特捜隊本部
「地獄へ落ちろ人間ども!」
と、炎を吐いた時の1コマ前の顔にしか思えません(おまえだけだ)
是非デビルマンの原作を持っている方は見て欲しいです。
「これが!これが!〜〜(中略)〜〜人間の正体か!」
というコマの顔です。

さて、「あらしのよるに」の原作では、ハードカバーを外すと作中で使われている「満月の歌」の歌詞が載っているのですが、これをもし永井豪が
「最終戦争後の飛鳥了の心理をソフトな言葉で詩にした」
と、言ったら俺は、スンナリ信じます。

そして、「あらしのよるに」のラストでは、この歌を流した方が俺的には納得できます逆説的に俺以外は納得できない
















裏切り者の名を受けて 全てを捨てて戦う男 (ガブ)

初めて知った人(ヤギ)の愛 その優しさに目覚めた男 (ガブ)

ガブ=デビルマン



デビルマン2.gif



なんだかスッキリしましたよ!
(俺だけが)

予想の400倍程酷い内容になりました・・・・・・・・・





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posted by 偽者 ケイ at 01:59| Comment(5) | TrackBack(2) | 妄言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かにラストは変えてあったけど、・・・何とかもうちょっとねぇってカンジでした・・・。
(こちらの記事もTBさせてもらいました)
Posted by たけちゃ at 2005年12月21日 00:49
>たけちゃさん
やっぱりラスト変わってますかぁ。
どうも、急ぎ足に片付けちゃったようなラストだそうですね。
そして、トラバありがとうございます♪
Posted by ケイ at 2005年12月21日 01:29
ではでは、デビルマンの続編的な「バイオレンスジャック」を絡めて、もう1度、考察(妄想)をお願いします。
Posted by nanasi at 2005年12月22日 14:10
>nanasiさん
バイオレンスジャックですか!
確かに飛鳥了も美樹ちゃんも、更には如月ハニーまで出てきちゃう漫画ですけど、アレはちょっと(苦笑)
ラストはデビルマンテイスト・・・っていうか、飛鳥了(サタン)の楽園創造ストーリー第二弾って感じですよね。
とても俺なんかの手に負えませんよアレはw
Posted by ケイ at 2005年12月22日 23:49
原作である絵本はあくまで、きむらゆういち氏が子ども達に送って作り上げたもので、
アニメーションはそれらをより多くの子ども達やその保護者の方がみやすく、
小説は大人に向けたまた新しい形だと思われます。

是非原作である絵本や、その絵本がシリーズ化していった理由をお調べになってお読みになっていただきたいです。
また違った世界がみえてくるかと思われます。
Posted by at 2014年12月16日 03:48
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